兵庫県篠山市『やくら』 才本さんの暮らし 日 本 人 の 暮 ら し 、フ ラ ン ス

の
暮
い
兵庫県篠山市『やくら』
才本さんの暮らし
01
て、
ワンフロアにいくつもの機能を
持たせる傾 向があり ます。それ
は、江 戸 時 代 後 期に確 立された
土や 文 化にあったアイデアが 濃
イルが育 まれた。日 本 各 地の風
響し、
ぶれることなく特有のスタ
に、長 く 鎖 国 していた 歴 史 も 影
も 多いが、日 本 は島 国である 上
る と 影 響 し 合って 似ていること
国や 民 族 が 違っても 隣 接 してい
大 き く 異 なる。大 陸の場 合 は、
イルは風土や文化の違いによって
同じ人間の暮らしでも、
そのスタ
暮らし、
ベトナム人の暮らし 。
日本 人の暮らし、
フランス人の
ずれも意 匠 的にも美しく、紙 を
り 仕 切 りたければ襖や 板 戸 。い
を 見 せた け れば格 子 戸 、しっか
を通したければ簾 戸︵ す ど︶、中
だ。光 を 通 した け れば障 子 、風
入れ替 えもでき、とても 機 能 的
豊 富で、季 節や 目 的に合 わせて
襖や 障 子 な どの建 具 は 種 類 も
開 け 放てば広 く 使 える。ま た、
ル。襖を閉めれば小さく仕切れ、
る 日 本 家 屋の 典 型 的 なスタ イ
な空 間を襖などで田の字に仕 切
でしょう か ﹂。田の字 とは、大 き
田の字の住 まいに近いのではない
厚に 詰 まった 暮 らしや 住 まい。
使っている障 子や襖ならアレンジ
てフレキシブルに対 応できる田の
もしや すい。季 節や 目 的に応 じ
てく れたのは、建 築 家の才 本 謙
字プランは、
今改めて見直される
ぼ確 立 されていました ﹂と教 え
二さん。兵 庫 県 篠 山 市 を中 心に
べきスタイルではないだろうか。
﹁ 江 戸 後 期には日 本の住 宅はほ
多 くの物 件 を 手 掛 ける 古 民 家
再 生のプロだ。
﹁日 本の場 合 、基
本 的に高 温 多 湿ですから、古 民
家は風 通しを考 えてつくられて
まや 障 子で仕 切 り、開 放 すれば
います。部 屋は壁ではなく、
ふす
年 頃からでしょうか、
才本建築事務所社長。
住宅建築に留まらず
篠山市を中心に、
古民家再生やまちづくり
など幅広いフィールドで
活躍している。
風が通 り 抜 けるようにできてい
る。昭 和
屋 を 細 か く 仕 切 ら ず 広 く 使っ
宅 向 けではなかった。最 近 は部
熱や 湿 気がこもるので日 本の住
く 仕 切るのが流 行 り ましたが、
欧 米 文 化に 憧 れて 部 屋 を 細 か
40
居間、客間、台所(土間)
の間に壁はなく、
全て障子と板戸で仕切られている。
才本邸
(住居部分)
の南側外観。
大きな開口から風が通り抜ける設計になっている。
上:才本邸
(住宅部分)
の2階は寝室だが、時々
30人くらいが集まる会議にも使用される。
下:障子や板戸を開け放てば全室が一体となる
才本邸
(住宅部分)
1階。
4
5
才本謙二さん
建築家
む 住ま
ら
を育
し
﹃やくら ﹄
の洋 館 部 分はそ もそ
玄 関 を入ると広い土 間 となってい
も郵 便 局 として建てられたため、
る。左右の部屋と奥の廊下に繋が
っていて、中 庭 を 抜 ける と奥の住
居 部 分 まで靴 を 履いたま ま 行 く
ことができる。農 家における土間
は、農 作 物や土のついた道 具 を 持
って入って作 業 する場。今なら、自
転 車やサーフボードなどを持って
入ってメンテナンスできると言った
心して使 えるので、台 所 と言 えば
ところだろう 。また、火や 水 を 安
土間だった。
囲 炉 裏 は、家 族 が 食 事 を 囲 む
ダイニングであ り ながら、同 時に
料 理 を 保 温 したり 、部 屋 を 温め
た り 、灯 りの役 目 を 果 たし た り
と、
さまざ まな機 能 を合わせ持っ
ている。また、囲 炉 裏 から あ がる
にギャラリーとして 使 用 している 蔵 が あ
住 まいとして使 用している日 本 家 屋、
さら
い。建築事務所として使用している洋館と
改 修した才 本さんの建 築 事 務 所 兼 住 ま
﹃ や く ら ﹄は大 正 時 代 末 期の古 民 家 を
合は日が沈んでも 農 機 具の手 入れをした
となどがあると出して敷くもの。農家の場
ません。畳は普 段、仕 舞っておいてお祝いご
例 えば、農家には畳の部屋はほとんどあり
も仕 事が中 心。家 = 仕 事 場だったのです。
た場所があるという意味では同じかと思い
パソコン1つで家で仕 事される方がいらしゃ
働くことこそ暮らすことでしたから。最近、
昔、家は憩 う 場 所ではあり ませんでした。
場という具合で、
とにかく仕事のための家。
ど、
そこで製 造している場 合はその奥が工
ます。さらに、生 活における仕 事 もたくさ
ると思うのですが、家の中に社会性を帯び
んありました。風呂や炊事のための薪を集
り藁を編んだりさまざまな作業がありま
間や板の間でした。商 家なら、まず 表 通り
めたり火を起こしたり、
家を維持するため
したから、家の中 心は作 業に都 合のよい土
に面した部分は店舗で、
店続きの土間を通
に手入をれしたり補修したり、食べ物がな
とについて伺った。
﹁ 古 民 家 は 大 き く 分 類 す る と﹃ 商 家 ﹄
るようになっていました。お 菓 子 屋さんな
って居 間があり、家に居ながら店 番ができ
る。才本さんに古民家で暮らして感じるこ
ですが、その呼び名で分かるようにいずれ
ても 貧 しいものだったが、その貧 しさこそ
っていますけれど﹂。昔の庶民の暮らしはと
り大変なので、
バランス良くガスも電気も使
したし、﹃おくどさん﹄も使っています。やは
からあえて風呂は
﹃五右衛門風呂 ﹄
にしま
の営みに明 け 暮れる ﹄
ことに憧れま す。だ
は思います。でも、
そういう﹃ 生活するため
から働き通しだったでしょう。大変だったと
にかく 全て自 分たちの手でやっていました
くなる冬に向けて保存食を準備したり。と
﹃ 農家 ﹄﹃ 武家の家 ﹄
に分けられると思うの
『やくら』洋館外観 改修後
『やくら』洋館外観 改修前
が、合理的に無駄なく暮らすためのアイデ
アを育んだ。そこには自然と寄り添い、
取り
込む
﹃ 豊かさ﹄
が感じられる。
才 本 邸 に は﹃ お く ど さ ん ﹄と
も 薪で火 を起こしている。もちろ
﹃ 五 右 衛 門 風 呂 ﹄が あ り 、
いず れ
的 としているが、煙 を 逃がすダク
ん調 理や 風 呂 を 沸かすことを 目
温めたり、乾 燥させたり するのに
ト内に集 まる熱 を利 用し部 屋 を
も 役 立っている。薪は地 元で調 達
したり 建 築 現 場から端 材 を持ち
帰 るな ど、無 駄 無 くや り く り し
ているのだそう。また、
燃やされた
薪は炭 となり 着 火 材の役 目 を果
たし、
その炭の粉を団 子 状に固め
して再利用することができる。
ると炭団︵たどん︶となり、
燃料と
濡れ縁 とは壁や 雨 戸の外 側に
作られた縁 側 。現 在の家ではベラ
とが多く、外でありながら屋内で
ンダに相 当 する。庇の下にあるこ
も あるので土 間に似 た役 割 を 果
たす。野 菜や梅 干しを干したり、
部 屋が汚れそ うな作 業 をしたり
するのに便 利 なスペース。才 本 さ
だそう。
んはBBQなどに使用しているの
『やくら』の洋館部分、才本建築事務所の2階。
純和風な部分と大正レトロな部分が混在し、
不思議な空間となっている。
薪
炭
炭団
従来、濡れ縁の内側は
雨戸と障子だけだったが
才本邸では防寒のため、
間にガラス戸を入れたのだそう。
煙によって家が燻され、防虫・防水
効果、
さらには木材の腐食を防ぎ
『おくどさん』が印象
的なキッチン。
『おく
どさん』
はもともとあっ
たものなのだそう。
6
7
家の耐 久 性 を 高める効 果 も ある
と言われている。
囲炉裏からあがる煙で
燻された天井。
付 き ました。昔 は流 通システムが 整ってい
そう。
﹁ 最 初は地 域 材︵ 地 元の木 材 ︶を 使
なかったので、家は当 然 近 場にある材 料で
才 本 さんが古 民 家に興 味 を 持ったのは
か﹂という 疑 問からだった。日本では戦 後、
作っていたわけです 。実はそれこそが理 想
う ということしか 頭になかったのです が、
復 興の家 屋 用 として多 くの木 を植 えたに
的 な 家づく り だと思 うようになり 、古 民
土や竹、
石など多くの建材があることに気
もかかわらず、
ほとんど流 通せず 生い茂る
から と 言って 外 材 ばか り 使っていていいの
一方。使わなければ折 角の木 材が無 駄にな
家に興 味 を 持 ち ました。土の効 能は分か
﹁日本にはたくさんの木材があるのに、
安い
ると思った才 本さん達は、
﹁日 本の木 材 を
そう。
もまた無 駄なく 暮らす 先 人の知 恵なのだ
とがあるが、それは転 用 材の証 拠で、
これ
と、意 味のない場 所にほぞ 孔 を見つけるこ
だそ う 。古 民 家の柱 を 注 意 深 く 見ている
体 現 場から出た古 材を転 用したり するの
足りない部 材を地 域 材でまかなったり、解
にあたっては、
できるだけ元の材料を残し、
問を持つようになりました﹂。古 民 家 再 生
を 壊 して新 しいものを 挿 入 することに疑
いと思 うようになり 、統一感のある町 並み
い年 月 をかけて培 われた町 並みも 守 りた
統一され、
その町の色が生まれるのです。長
り ま す 。同 じ土 を 使いま す から 壁の色 が
料や工法が同じなので統一された景観とな
にすることにもつながり ま す 。それに、材
抗体を持った木材を使うことは、
家を丈夫
に合った 特 性 を 持っていま す 。その土 地の
生 えていたのだから、当 然その土 地の風 土
りませんが、
少なくとも木材はその土地に
※
使おう ﹂と呼びかける運 動 を始めたのだ
古民家を再生し、
昔の暮らしを
再 現 することは容 易ではない。才
本さんの暮らしのあり方に共感を
覚 えるのは、決して昔の暮らしを
ストイックに死守しているワケでは
ないところだ。優れた先 人の知 恵
に敬意を払い、
無理なく取り入れ
られる部分をバランス良く取り入
れ、
その
﹃ 豊かさ﹄を享受している。
才 本さんの
﹃ 暮らし ﹄
には、﹁ 後 世
に優れた日 本 人の営みを 伝 えた
﹁例えばこの扉は木材を贅沢に
※
い﹂という思いが感じられる。
使用しています。昔はそれが普通
だったのでしょうが、今 となっては
貴重で捨てるわけにいかないと思
い再利用しました。かまどや土間
など先人の知恵の詰まった暮らし
についても絶やさず、
今の暮らしに
テレビやエアコンはあり ませんが、
バランス良く取り入れて残したい。
冷 蔵 庫や 洗 濯 機はあ り ま す 。我
慢 する 必 要 はあ り ません。井 戸
水は風呂には使いますが、
飲料水
は水道水です。薪で火を起こすの
才本建築事務所
は楽しいですが面倒な時はガスや
給湯器を使います。これが私たち
古 民 家 を愛でて楽しむだけで
赤・黄・黒のカラーリングがモダンな印象の住居部分の外壁。
全て昔から使われている天然由来の色だそう。
役割を果たさないほぞ孔がある柱は転用材なのだそう。
この家が建てられた大正時代以前の家から出た古材を
転用していると考えられる。
住居部分一階の壁は篠山市大山の土を使用している。
赤味を帯びた色合いが特徴。
篠山事務所:兵庫県篠山市池上358-2
(やくら)
TEL:079-554-3781/FAX:079-554-3780
http://saimoto.sakura.ne.jp/
のバランスなんですね﹂。
は、
先人の知恵の
﹃ 豊かさ﹄を享受
することはできない。暮らしてみて
黒い梁は元からあったもので、
白い柱や梁は新たに地域材を使用したもの。
また、各所に転用材も使用されている。
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はじめてその
﹃ 豊かさ﹄を自分のも
のにすることができるのだろう。
蔵の外壁「なまこ壁」
は、見つかった古い
丸くてかわいい蔵内の窓。
瓦と新しい瓦を焼き足して修復したのだそう。
蔵の鍵。丸落としの棒を引き上げることで
開けることができ、扉を閉めれば
自動的に棒が穴に落ちてロックされる
昔のオートロック方式。
有限会社
古民家再生のほかにも、
町並みの保存やまちづくり、
空き家の有効活用など、
さまざまな活動をされています!
Information
井戸水はポンプで組み上げ
風呂場などへ引いているのだそう。
格子戸の奥に設置されている
冷蔵庫と洗濯機。
洋館2階、事務所前の廊下。南側全面に並ぶ窓は枠もガラスも当時のものだそう。ガラスの歪みが懐かしい空気を漂わせている。
古い扉を再利用した棚。扉の桟が
贅沢に丁寧に仕上げられている。
才本さんお気に入りの五右衛
門風呂は新たに設置したもの。
の
暮
い
大阪府吹田市 千里ニュータウン
VO邸 岡本さんの暮らし
02
のが楽しい。ゼロからだと想い通
りにはでき る け れ ど、逆に 何で
要りません。その点、色々な制限
もできるのであ ま りアイデアは
があるとアイデア勝 負になるの
いたこと、
それは、価 値 を見 出 す
ナーの岡 本 さんに教 えていただ
お 話 を 伺ったインテリアデザ イ
なモノである 場 合 も ある。今 回
も、
ある人にとってはとても貴 重
的にはどんなにつまらないもので
モノの価 値 とは何だろう。
一般
て 来 る という 妥 協 はない。ま し
流には、間に合わせで何かを持っ
せるのがまたおもしろい﹂。岡 本
偶 然 出 会ったものなどで成 立さ
るもの、
たまたま持っていたもの、
というのは嫌なんです。そこにあ
にわざわざ別の何かを用意する
流 儀 として、何かを 活かす ため
で、腕が鳴 り ま す 。それと、私の
力 、自 分の﹃ ものさし ﹄を 持つこ
時 間 も掛 けられるのでなおさら
て、自分の家となると、思う存分
だ。岡 本 さんがこの家に 越 して
とが、自 分の暮 らし を 育んでく
﹁この物 件は、
6年 前に見つけ
6年になるそうだが、
最近になっ
れるということ。
年でした。
はありませんでしたが、
角地であ
多少傾いていたし、決して完璧で
ってくれた。
の板に出 会ったと興 奮 ぎみに語
てキッチンカウンターに使 う 運 命
た時 点ですでに築
ることと大 きな三角 屋 根 、吹 き
抜 けの階 段が気に入って決めま
した。千里ニュータウン内を歩いて
と、
まだ使えるのにもったいない!
いて壊 されていく 家 を 見 かける
と思うことがよくあります。
例えば2千万円で新築を建て
す 。色々なことを 諦めて切 り 詰
よ う と 思 う と 、か な り 困 難 で
めて建てな け ればな り ません。
でも 、
リノベーションなら同 じ 金
額で相 当 なことができる。それ
インテリアデザインオフィス
『人力工房』代表。使い手の
要望に沿いながら、
自由かつ
機能的で温かなインテリアを
提案している。
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11
に、今 ある ものの中に価 値 を 見
インテリアデザイナー
岡本昭子さん
天井が高く、開放感のあるVO邸のリビング。手前の階段が購入の決め手の1つなのだそう。
三角屋根が印象的なVO邸の外観。最近流行の陸屋根に比べ、
水切れが良いのが特徴だそう。
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出し、どう 活かすのかを 考 える
緑のタイルが印象的で明るいダイニングキッチン。ウェグナーのYチェアやアルテミデの照明など、普遍的で繊細な機能美を持った家具が空間を引き締めている。
む 住ま
ら
を育
し
日本が明るい未来に向けて躍進しはじめた昭和30年代、鳴り物入りで開発された「千里ニュータウン」。
50年が過ぎ、すっかり落ち着いたこの町の遺産とも言える築37年の家をリノベーションし、
当時の面影を活かしながら素敵に再生させたインテリアデザイナーの岡本昭子さんにお話を伺いしました。
さまざ まな遊びがあるV O
邸 だが 、決 して 雑 然 とし た 印
象 は受 け ない。そのバランスを
保っているのは、統一感 を 保つた
めの決め事 だ。パズルのように
端 材 をはめ込んだ玄 関の壁 。
一
見破壊的な印象も受けるが無
垢の木材という決め事が統一感
を保っている。洋 酒 棚 を利 用し
た洗面カウンターは落ち着いた
色のバランスの良 さ も あるが、
円 形 というテーマで統一されて
いる。また、
全てにおいて差し色
は緑と決まっているので、激しい
発色の緑が混ざっていても雑然
さを感じさせない。
ストイックな決め事で統一す
る と、無 機 質 な 空 間にな り か
ね ないが 、さ り げ ない決 め 事
は、空 間に 自 然 な ま と ま り を
生み出してくれる。
当 初、
リビングの壁 全 面が濃
い木目調で暗く重い印象だった
そ う 。その壁 と吹 き 抜 けの階
段 を 活 か すことで、
リビングの
ベースはできあがっている。
﹁ゼロから作るなら壁は全面、
白にしたでしょう。でもせっかく
出 会ったこの壁 を 活かしたかっ
ひ と き わ 目 を 引 く キッチン
カウンターの天 板 。実 はこれは
固 定 されておら ず 、取 り 外 す
﹁この天板は、取 り 外して足
ことができるのだそう。
を添 えて座 卓 としても 使 える
よう固定していません。目的や
状 況に応じて効 率 良 く 変 化さ
せられるのが好 きなんです。例
えば、
この照 明 も可 動 式なので
ダイニング用 としても、
キッチン
ません。これはそのまま活かす
抜 けの階 段は一切 手 をいれてい
いかにも﹃ 昭和の応接間 ﹄といっ
付 けの重 厚 な 洋 酒 棚 が あ り 、
以 前 はリビングの隅に 作 り
ずします。これは建築家さんの
同 様に、夏にはアクリル板 をは
けるようにします。この天窓も
アクリル板 をはずして、風が抜
キッチンカウンターの天板に脚を添えて
座卓に早変わり。
外壁に沿った開閉式の格子。閉めた時。
たので、
一部残しました。暗くな
らないよう 周 囲の壁 を白にし、
上からも 光が入るようにし ま
した。次に、その壁の印 象に合
と決めていました。そして、
階段
た感じだったのだそう。
アイデアですが外壁に沿って設
す。らんまを使った扉は、
夏には
カウンター用 として も 使 え ま
の黒 格 子に合 わせて、黒い塗 り
﹁ 洋 酒 棚は取り払ったのです
えている格 子は引 き戸になって
わせて床材を選びました。吹き
の家 具 を選びました﹂。何かを
が、使われていた板がマホガニー
も自然と決まってくるようだ。
活かす ということは、その周 辺
の突 板だったので、
これはもった
ると光 を 遮ってくれま す ﹂。ま
るで家 自 体が季 節や目 的に合
いて、
西日が射す時間帯に閉じ
っておいて も らいま し た 。その
わせて動いて機 能 する一つの大
いない!と大工さんに頼んでと
板 は今 、洗 面カウンターになっ
きな道具のように思える。
切なアイデアかもしれない。
む場である家にとって、最 も 大
に も一役 かっている 。家 族 を 育
やご主 人 とのコミュニケーション
ろんのこと、小 学 生の息 子さん
の動 線 を 確 保 。利 便 性 はも ち
も 行 き 来しやすいよう 回 遊 型
階の全てが見 通せ、どの部 屋へ
多い岡 本さんは、仕 事 場から1
日 頃 、仕 事 場に 居 ることが
ていま す 。他にも 、おばあ ちゃ
んの家にあった障 子 を使ってキ
り 、らんま を 扉に使ったり 。昔
ッチンを仕 切る引 き戸を作った
のものは丁 寧に 作 られてま す
し、味のある風 合いが好 きなの
せました﹂。他にもさまざまな
で色々な 方 法で生 まれ 変 わら
転 用のアイデアが 散 り ばめら
れているが、最 も 斬 新 なのは、
玄関の壁だ。
可動式の照明を持ってくれば
キッチンカウンターの隅が
ちょっとしたデスクに早変わり。
外壁に沿った格子は
開閉でき、閉めれば
西日を遮ってくれる。
外壁に沿った開閉式の格子。開けた時。
欄間を転用した扉。冬の間はアクリル板を
入れて防寒し、夏場は外して風を通す。
らんまを使った光とりの
スリット。
障子をはめ込んだパーティション。
キッチンとリビングを仕切ることができる。
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13
大阪府吹田市高野台 TEL/FAX : 06-6170-1611 mail: VZE04136@nifty.com http://homepage3.nifty.com/jinriki/
インテリアデザインオフィス人力工房
※「VO邸」
とは、岡本さん
(奥様)
とご主人の名前の頭文字をとって付けられたものです。
Information
端材をパズルのように集めた玄関の壁。
わざと突起をつくり、
上着やカバンを掛けるフックとして使用している。
差し色は緑に統一されているので、
くすんだ緑から蛍光の緑まで
色々混ざっていても、煩雑さは感じない。
窓、
カウンター、椅子。木のものは
シャープに。鏡、洗面ボール、
キャビネットなど
明るい色のものは円形で統一されている。
玄関を入ると右回りに、
リビング→ダイニング→キッチン→仕事部屋→洗面・
トイレ・バス→
玄関で回遊できる動線が確保されている。
取材に協力いただいた
岡本さんの事務所は
こちらです!
外光が降り注ぐ天井のスリット。
冬の間は暖房の効率を上げる
ため、
アクリル板で仕切られている。
もとの姿を活かした木目調の壁と吹き抜けの階段。
白い壁や床材とのバランスが絶妙。