TOSHIN TIMES July 2015“UNIVERSITIES ARE UNIVERSAL”ISSUE 九州大学 薬学部 義 本日の講 講義の流れ 醍醐味 L 九州大学薬学部の学生は、1 年生は伊都キャンパスで(本日の講義「創薬科学総論Ⅰ」を 含む) 、2 年生以上は病院キャンパスで履修します。 創薬科学総論Ⅰ 新しい薬を創る 「創薬科学」 の入門編として、 8回にわたる講義で創薬の基礎から臨床までを紹介する。 薬は どのようにして効くのか、 生物の仕組みと薬とはどのように関係しているのか、 ウイルス病や癌を治す薬を創 るためにはどんな勉強が必要なのか。 化学、 物理の視点からも、 薬学研究について理解を深める。 法学部 経済学部 理学部 医学部 歯学部 薬学部 工学部 芸術工学部 農学部 21世紀プログラム [ 沿革・歴史 ] 1903(明治36)年 1911(明治44)年 1919(大正 8 )年 1924(大正13)年 1939(昭和14)年 1947(昭和22)年 1949(昭和24)年 1964(昭和39)年 1967(昭和42)年 1968(昭和43)年 2003(平成15)年 2005(平成17)年 京都帝国大学福岡医科大学創立 九州帝国大学創立 九州帝国大学工科大学、九州帝国大学医科大学設置 医学部、工学部、農学部設置 法文学部設置 理学部設置 九州帝国大学を九州大学に改称 新制九州大学設置 文学部、教育学部、法学部、経済学部設置 薬学部設置 歯学部設置 九州芸術工科大学創立 九州大学と九州芸術工科大学統合 伊都キャンパス開校 上 でも、非 常 に 大 切 に なるんです﹂と 宮 本 先 生は解説する。 文学部 教育学部 URL http://www.kyushu-u.ac.jp/ 〒812-8581 福岡県福岡市東区箱崎6-10-1 九州大学 学務部入試課入試第一係 TEL.092-642-2265 FAX. 092-642-2267 e-mail : nyushiken1@jimu.kyushu-u.ac.jp !? の化 学 構 造 を 知 り、作 用メカニズムをうまく利 用 す れ ば、逆 に 薬 にも なる。つまり毒を知るこ とが、新 薬を創っていく ます﹂ 一 方でアトロピンは、 毒 ガスのサリンの解 毒 剤 としても使われる。まさ に毒 をもって毒 を 制 す、 という わ け だ。抗 ガン 剤の一 種であるアルキル 化 剤も、第 一 次 世 界 大 戦のときに 化 学 兵 器 と して使われたマスタード ガスと基 本 的 な分 子 構 造 が 同 じ だ という。毒 ガスと 薬 が 同 じ 成 分 で あると 聞 き、学 生 た ち も驚いた様子だ。 さんの実 験 器 具 や 計 測 機 器も扱いますので、工 学 的なスキルも必 要 。ぜ ひ薬 学 部を目 指 す 高 校 生の皆さんには、理 系 分 野をまんべんなく勉 強す ることをお勧めします﹂ 山内 智暁さん 薬学部 創薬科学科1年 以前、抗生物質の副作用で体調を 崩したことがあり、自分と同じような 体質の人の役に立ちたいと思ったこと が、製薬の研究者を目指すきっかけに なりました。将来は、製薬メーカーで 副作用の少ない薬の開発を研究した いと思っています。 九州大学 使い方次第で毒が薬に変身! た り、蛇の毒 を 解 毒 す る薬としても使われたり してきた。 ﹁毒は人 間の体に悪 影 響をもたらしますが、そ ときに、毒をもって毒を制す ターでそれらの化 学 構 造 式を映し出しながら、生 物の体 内で悪 影 響 をも たらすメカニズムについて 詳細に解説していく。 ﹁ハシリドコロという植 物 は、新 芽 がフ キノ ト ウに似ていて、よく誤っ て食べた人が中 毒を起こ します。毒の正 体はこれ に含まれるアトロピンと いう 物 質 です。神 経 伝 達 物 質アセチルコリンの 働 き を 阻 害 す るので、 副 交 感 神 経を麻 痺 させ メーカーの研 究 所などで 新 薬の開 発を目 指すか、 薬 剤 師の国 家 資 格を取 る卒業生がほとんどだ。 最 後 に 、宮 本 先 生 が 高 校 生にメッセージをく れた。﹁ 薬 学の勉 強では、 生 物 学 はもちろんです が、化学も物理学の知識 も必 須となります 。たく 毒が体内で作用するメカニズムを学ぶ 英 語 では 天 然の毒 を ﹁ト キシン﹂、人 工 の 毒 を﹁ポイ ズン﹂と呼 ぶ。 天 然 毒 に は 蛇 やハチ、 サソリ、ふぐなどの動 物 が体 内で作り出 すもの、 毒キノコやトリカブトな どの 植 物 性 のもの、微 生 物のO157やボツリ ヌス菌が生産する毒など がある。サリンやダイオ キシン な ど、科 学 的 に 合 成 された 毒が ポイ ズ ンである。 宮 本 先 生はプロジェク 薬学には自然科学全般の知識が求められる 創 薬 科 学 総 論の講 義 では、薬に関 する基 礎を 学んだ後に、各 分 野の先 生が自 分の専 門 研 究 分 野について講 義し、最 新 の創 薬 知 識 を 学 んでい く 。九 州 大 学 薬 学 部の 定 員は創 薬 科 学 科 名 、臨 床 薬 学 科 名 。大 学 院 に進 ん だ 後 に製 薬 50 毒と薬は表裏一体 創 薬 につな が る 毒 の 知 識 「薬物乱用など、薬と社会の関わり」から、 「タンパク質と薬」 「毒と薬の歴史」 「より安全で効果的な薬」 といった幅広い観点から創薬をとりまく知識を学べる。 ﹁今から配る出 席 票の 性 質をうまく使って薬へ 裏に、皆 さんが知ってい と 転 じてき た。例 え ば る 限 り の﹃毒 の 名 前﹄ 鉱 物 か らとれる 猛 毒の を 書いてく だ さい﹂。学 ﹁ヒ素﹂。体内に入ったヒ 生 た ちは 隣 同 士﹁フ グ 素は呼 吸 関 連の酵 素や の毒の名 前ってなん だっ タンパク質と結合し、そ け?﹂﹁梅の実にも毒が の機 能を失わせることで あるよ ね﹂と 小 声 で 相 生 物を死に至らしめる。 古くから暗 殺に使われ、 談を始めた。 ﹁なるべくマニアックな 一 説にはナポレオンもヒ 毒を書いてくれると嬉し 素で毒 殺 された と 言 わ いな﹂そ う 言いながら、 れている。 だが1910年、ドイ 宮 本 先 生 は 教 室を 歩 き ま わ り、学 生 た ちの 手 ツの化 学 者エールリッヒ 元 を 覗 きこむ。毒 の 名 が、当 時もっとも恐れら 前 が 書 き 終 わると、次 れた 難 病の梅 毒の原 因 は 残 りのスペースに知っ 細 菌 をヒ素が 選 択 的 に ている薬の名 前を書いて 殺 すことを 発 見。以 後 の治 療 に 大 いに 役 立 て もらう。 ﹁毒と薬は表 裏 一 体、 た。ヒ素はほかにも歯の 使い方によって毒にもな 治 療の際 に神 経 を 殺 し れ ば、薬 に も なる、というこ とを 今 日 の 講 義 では 解 説 し ます﹂ ま ず、毒 の 定 義は何か? 一 般 的 に は、 ﹁生物の健康生 命 に有 害 な 物 質 で、微 量 で 人 間を死 に至 らしめる物 質﹂ のことを 言 う。 だが 古 来 より 人 間 は、毒 の 30 2015 IVE 話題の講義ライブ 5.19.Tue. at Ito 14:50∼16:20 み や もと と も ふ み 宮本 智文先生 昭和58年(1983年)に九州大学薬学部を卒業後、大学院 薬学研究科を経て昭和60年(1985年)に薬学部助手、平 成5年(1992年)同助教授、平成19年(2007年)大学院薬 学研究院准教授、現在に至る。この間、グリフィス大学 (オーストラリア)にて博士研究員、イタリア生物化学研究 所で訪問研究員として海洋天然物化学に従事しました。専 門は天然物創薬化学、特に“分子標的スクリーニングによ る新しい天然医薬シーズの探索”を研究テーマに、海洋無 脊椎動物、薬用植物、微生物などの天然素材から、がん、生 活習慣病(糖尿病)、アレルギー性疾患、感染症などの治療 や予防に役立つ“くすりの種”を探しています。 学生の声 倉光 宗一郎さん 薬学部 臨床薬学科1年 身近な家族が病気で入院した ことから、医療の仕事に関心を抱 くように なり、将 来 は 薬 剤 師 と なって人を救いたいと思っていま す。今日の講義は、将来、薬剤師と して仕事をする上でも必須の知 識だと思います。 イベント情報 ○オープンキャンパス 8月1日(土)文学部・教育学部・法学部・経済学部・21世紀プログラム 8月2日(日)理学部・工学部・芸術工学部・21世紀プログラム・基幹教育院 8月3日(月)医学部・歯学部・薬学部・農学部 ※基幹教育院は、自ら問い立て、生涯にわたって自律的に学び続けることができる人材を育成するための 「基幹教育カリキュラム」をマネジメントします。基幹教育は、入学して最初に接する大学教育で、初年次から 学部、大学院に至るまでの学びの「基幹」を育む教育システムです。詳細は大学Webサイトをご覧ください。 より 九州大学の新たな拠点となる「九州大学伊都キャンパス」は、福岡ヤフオク! ドーム40個分もの 当記者 学、 自然豊かな環境にありました。福岡から大学に向かう電車の窓からは今津湾の美しい 九州大 学でした! 広さを誇る、 大 こんな 海が見え、キャンパスのあちこちで新しい建物の工事が行われており、活気に満ち溢れていました。 取材担 本紙に掲載した大学(私立大学のみ)の案内資料は、P40のハガキ、 または東進のウェブサイトwww.toshin.comから請求できます。
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