2015/4/13 2010 Research Method 2A さっきの実験 - 本題の前に - 単語、いくつ覚えてましたか? ここが今回の実験で見たかったところでした。 問題と目的 つまり・・・ 実はさっきの実験は 「記憶」に関する研究 だったんです! 2010 Research Method 2A 講義の流れ 問題と目的とは 問題と目的 「その研究がなぜ必要だったのか」「何がしたいか」を書くところ。 記憶とは?(問題背景) 先行研究(Craik & Lockhart, 1972) 自分の研究のアピールポイント&「つかみ」 本研究の話 砂時計でいうとココらへん ⇨ 目的 方法 方法 結果 方法の構造と書き方 要はとても大事なところ 考察 しっかり聞いてね!! 2010 Research Method 2A 目次 記憶とは? 記憶とは?(問題背景) 「記憶」ってなんでしょう。 先行研究 (Craik & Lockhart, 1972) 本研究の話 記憶力・前世の記憶 記録よりも記憶に残る男・昨日飲み過ぎてどう家に帰ったか記憶がない.... →覚えること?覚えているもの?使い方がいろいろ・・・ 心理学における記憶とは。 もう少し細かく考えている。 1 2015/4/13 2010 Research Method 2A 2010 Research Method 2A 記憶とは? 符号化 入力された情報を 記憶できる形に 変換 記憶の3段階 記憶に 残りやすいもの/残りにくいもの がある どの段階が関わっている? 符号化 encoding 1. 覚える 記憶の性質 貯蔵 2. 忘れないでおく 貯蔵 store 3. 思い出す 検索 retrieval 符号化された 情報を 保存しておく 符号化 入力された情報を 記憶できる形に 変換 貯蔵 検索 符号化された 情報を 保存しておく 保存された 情報を 取り出す 検索 保存された 情報を 取り出す 符号化に着目した先行研究がある 2010 Research Method 2A 目次 Craik & Lockhart (1972) 記憶とは?(問題背景) 問題提起 先行研究 (Craik & Lockhart, 1972) 本研究の話 なぜ記憶に残りやすいもの/残りにくいものがあるのか? 符号化に着目して検討 符号化段階でどのような処理が行われると 記憶に残りやすくなるのか?? 2010 Research Method 2A 2010 Research Method 2A Craik & Lockhart (1972) Craik & Lockhart (1972) <実験> 符号化段階でどのような処理が行われると 参加者を2つの条件に従ってグループに分ける。 記憶に残りやすくなるのか?? 呈示された単語が..... Craik & Lockhart (1972) の仮説 入力された情報は、深く処理された方が 記憶に残りやすいのではないか 「大文字であるか」を判断する条件 「動物であるか」を判断する条件 2 2015/4/13 2010 Research Method 2A 2010 Research Method 2A 「深い処理」とは? Craik & Lockhart (1972) 大文字判断 大文字判断 動物判断 その単語が その単語が 大文字であるか 動物であるか ex.) PENGUIN ⇨ Yes / No ex.) PENGUIN ⇨ Yes / No 浅い処理 深い処理 文字を見る 動物判断 “P E N G U I N” 意味を考える “YES” 1段階 進んだ 処理 浅い処理 2010 Research Method 2A “PENGUIN” “YES” 深い処理 2010 Research Method 2A Craik & Lockhart (1972) “PENGUIN” ⇨ 意味 文字を見る Craik & Lockhart (1972) = 浅い処理 結果:グラフにしてみると = 深い処理 (%) 偶発学習場面における自由再生課題の正再生率を各条件で比較 偶発学習:学習しようという意図がない場合に起きる学習。 (自由)再生課題:記憶の測定方法の一つ。呈示されたものを思い出して報告。 正再生率:「正しく再生された個数/全体の個数」×100(%) 正 再 生 率 ⇨「深い処理」条件の方が正再生率が高かった! → 処理の深さ 符号化時の処理が深いほど記憶に残りやすいことが示唆された。 目次 本研究で検討すること Craik & Lockhart (1972) の問題点 記憶とは?(問題背景) 先行研究 (Craik & Lockhart, 1972) 本研究の話 非常に素晴らしい実験 だが、あくまで英語という言語に特有な現象かもしれない・・・! というわけで、 「日本語でやってみたらどうなるのか!?」について検討 これはまだ誰もやってない…! (という体で) 3 2015/4/13 本研究の目的 本研究における「処理の深さ」 ただし、日本語には「大文字」はないので、別の判断を導入する。 Craik & Lockhart (1972) で見られた処理の深さ が記憶の残りやすさに及ぼす影響が 浅い処理条件 「濁点が含まれているかどうか」(濁点判断) 日本語を用いた時にも見られるのかを検討する! 深い処理条件 「その単語が好きかどうか」(好悪判断) 2010 Research Method 2A 2010 Research Method 2A 本研究では 〜仮説と予想される結果〜 仮説 深い処理をされたもの は 浅い処理をされたもの 概念 よりも 記憶に残りやすい。 目的部分の説明は以上です。 予想される結果 深い処理条件 は 浅い処理条件 よりも 単語の正再生率が高い。 本研究 の 言葉 ー「方法」の構造ー 方法 (method) 実験参加者 (participants) 方法 実験装置 (apparatus) 認知心理学研究室D4 田根 健吾 刺激 (stimuli) 手続き (procedure) 実験計画 (experimental design) 4 2015/4/13 ー実験参加者ー ー「方法」の構造ー 方法 (method) 実験に参加してくれた人のこと 実験参加者 (participants) 欲しい情報としては、 ・何人いたのか? 実験装置 (apparatus) ・男女の比率は? 刺激 (stimuli) ・実験に適した参加者だった? 手続き (procedure) これらをふまえて書くと‥ 視力の正常な大学生70名(男性12名、女性58名)が実験に 参加した。 ー実験装置ー 実験計画 (experimental design) ー「方法」の構造ー 方法 (method) 実験に使った器具について 実験参加者 (participants) ・DELL社製コンピュータ OptiPlex 990SF:刺激制御用 ・Microsoft Power Point2007:刺激制御用 実験装置 (apparatus) ・プロジェクタ:刺激呈示 刺激 (stimuli) ・回答用冊子:判断課題用、再生課題用、妨害課題用 手続き (procedure) ただし、最後にみんなが得点を計算した紙については必要なし! 以上を用途や内容がわかるように書く!! ー刺激ー 実験計画 (experimental design) ー刺激ー 刺激の選び方 実験で使用した刺激とその内容について 画面に呈示されたものを言葉で記述する。 どんな点に配慮しながら刺激を選んだか ・まず何を呈示したのか→日本語の単語 ・名詞 ・どんな表記形式で?(フォントではなく) ・半分は濁点を含むもの ・どんな色で? ・中立的な単語(ネガティブorポジティブなもの、強烈な印象の言葉は避けた) ・その時の背景は? ・呈示の位置は? もめん ・日常的に使われるもの ・できるだけそれぞれに関係なさそうなもの →全部で24単語。実際に使った単語を付録として最後に付ける。 5 2015/4/13 ー「方法」の構造ー ー手続きー 方法 (method) 実験参加者 (participants) 実験装置 (apparatus) 刺激 (stimuli) 手続き (procedure) 実験計画 (experimental design) 参加者が実験において何を行ったのか (「方法」のメイン!) ・おおまかな流れをまず明示すると良い。 1.判断課題 2.妨害課題 3.再生課題 ー手続きー①判断課題 ー手続きー①判断課題 判断課題は2種類 冊子の教示に従って実施 ・出てきた単語に濁点が含まれるか→濁点判断(浅い処理) ・出てきた単語が好きか→好悪判断(深い処理) 単語を1つずつ画面の中央に5秒間呈示→24試行。 どちらの課題をやるかは参加者ごとに違う →無作為に濁点判断をする人たち(浅い処理条件)と好悪判断をする 人たち(深い処理条件)に振り分けた! 1試行目 「YES/NO」で判断 じかん 2試行目 ・濁点判断→濁点があるかどうか ・好悪判断→好きかどうか 5 秒 だいがく time 24試行目 5 秒 窓 窓 窓 窓 窓 うがい 5 秒 これらの言葉は非常に便利。ただし、必ず一番最初に使う時に 定義しよう!! ー手続きー②妨害課題 ー手続きー③再生課題 妨害課題の内容 再生課題の流れ ・1~9の整数を1つにつき1秒間ずつ連続呈示 ・教示に従い、冊子の解答欄に書き込む形で再生。 ・7つの数字を呈示後「???」と呈示 ・「???」呈示中に直前に見た7つの数字を、呈示された順に再生 ・自由再生形式(順番は違っても良い) 以上を1試行として計6試行実施した。 正再生率を算出 ←従属変数! 6 2015/4/13 実験上の工夫について 実験上の工夫について…系列位置効果 実験においては、様々な“工夫”が行われる。 初頭効果と新近性効果 ・“工夫” →剰余変数を統制するため、特別に行ったこと 今回の実験の剰余変数として、「系列位置効果」という ものが考えられる ・系列位置効果が思いだしやすさに影響している!! →剰余変数 なので分析から外す。 実験上の工夫について…系列位置効果 ー「方法」の構造ー 方法 (method) 初頭効果と新近性効果 実験参加者 (participants) ・系列位置効果が思いだしやすさに影響している!! →剰余変数 なので分析から外す。 実験装置 (apparatus) 「リストの最初と最後の2語は系列位置効果の影響を避 けるため、分析の対象外とした。」 刺激 (stimuli) 手続き (procedure) 結果の冒頭 に書く ー実験計画ー 今回書くべきことは‥‥ 実験計画 (experimental design) ー実験計画ー②要因 独立変数 「処理の深さ (2水準: 浅い処理/深い処理) を参加者間要因 「処理の深さ (2水準: 浅い処理/深い処理) を参加者間要因 とする 1要因2水準 の実験計画。」 とする 1要因2水準 の実験計画。」 →つまり‥‥ ‥‥要因?水準??説明します!! 「要因」=「独立変数」 7 2015/4/13 ー実験計画ー③水準 ー実験計画ー④1要因2水準 「処理の深さ (2水準: 浅い処理/深い処理) を参加者間要因 「処理の深さ (2水準: 浅い処理/深い処理) を参加者間要因 とする 1要因2水準 の実験計画。」 とする 1要因2水準 の実験計画。」 →つまり‥‥ 「水準」とは独立変数内に設定された「条件」のことだ!! → 「独立変数が1コ、その中の条件が2コの実験計画」 ということ!! ー実験計画ー④参加者間 ー書くときに注意することー 文章で書くこと! 「処理の深さ (2水準: 浅い処理/深い処理) を参加者間要因 とする 1要因2水準 の実験計画。」 ・箇条書きはダメぜったい 過去形で書くこと! ・「自分がやったこと」を説明するつもりで → 「参加者によって課題(条件)が違う」 ということ!! 時系列にそって書くこと! ・やった順に書かないとわかりづらい 2010 Research Method 2A 注意すること 本研究において重要な言葉をしっかり定義しましょう。 処理の深さ?○○条件?などなど 定義する必要のないもの:正再生率,系列位置効果,参加者間要因など 話の流れ、つながりを意識しましょう。 論文は「他人に見せる」ものです。 おばあちゃんでもわかるくらいわかりやすく、論理的に。 提出について 4/16(木)15:30まで 9号館5階 厳守!! 図書資料室の入口付近提出BOX 名簿にチェック 内容について 今回は「表紙、問題と目的、方法」についてしっかり書く。 達成目標のA1,A2,A3,D1 と、チェックリストが基準。 基準に満たない者は再提出の可能性あり。 質問について 授業パワポ等は 質問は http://pweb.sophia.ac.jp/c-michim/ 田根 k-tane@sophia.ac.jp 8
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